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お知らせ
2020年8月14日
未分類
新型コロナウイルスへの対策とポビドンヨードについて

 新型コロナウイルス感染拡大により、全世界の人々の社会生活や経済が大きな影響をうけています。我々医療関係機関においても例外ではなく、日々新型コロナ感染対策に追われています。

 そういった中、先日、大阪府の吉村洋文知事が、8/4のテレビ会見で「ポビドンヨードのうがい薬がコロナの特効薬」だと説明し、その直後から購入者が薬店、薬局等におしかけ、店頭からなくなり入荷未定になりました。私どもの薬局も全店在庫がなくなりました。今回、ポビドンヨードのうがい薬に関して、多くの情報が錯綜するとともにあふれており、何を、誰を信じてよいのかと悩まされている声を患者様からお聞きします。

 従来から、ポビドンヨードのうがい薬は、「風邪等の予防には有効ではない」という研究結果がでています。その研究では、水のみでうがいすると、うがいをしない方よりも風邪にかかる確率が下がったものの、ポビドンヨードでうがいしたグループでは効果が認められなかったのです。今回の報道では、水のみでのうがいを実施しておらず、ポビドンヨードでうがいした場合との比較ができなかった為、本当に新型コロナウイルスに対して有効なのか不明です。

 薬剤師の観点からは、日頃の新型コロナ感染予防対策として、「不規則な生活をしない事」「密集・密接・密室を避ける事」「マスクをする事」「手洗い・うがい」が必要だと思います。

 ポビドンヨードは、甲状腺機能に異常がある人や妊婦が使用した場合の副作用も起こり得ます。ヨード(ヨウ素)は甲状腺ホルモンの主原料です。長期間ポビドンヨードを使用した場合、また過剰摂取した場合、甲状腺の機能が弱まって甲状腺機能低下症の症状が現れることがあります。実際に、ポビドンヨードのうがい液を何年も常用していた人が、ヨウ素誘発性の甲状腺機能低下症を起こした症例もあります。妊婦の方も注意が必要です。妊婦の方は胎児への悪影響を避けるため、ヨード摂取量は制限されています。ポビドンヨードは胎盤を通過しやすいため、たとえうがい薬であっても注意が必要となります。また、ポビドンヨードの副作用として、ショックやアナフィラキシー(呼吸困難、不快感、浮腫、潮紅、じんましん等)などもあり、ポビドンヨードの使用で咽頭の常在細菌が消失するため、かえって健康を害する結果になる可能性も指摘されています。その為、適切な使用方法が必要となります。

 まだ新型コロナウイルス感染症に対しての特効薬も、ワクチンもない現状ではありますが、一人一人が感染症予防対策を徹底し、不確かな情報に振り回されることなく闘っていく必要があるのではないかと思います。

(有)もも薬局 代表取締役 西村武也

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